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ハンガリー国民のお酒、パーリンカ(Pálinka)

ハンガリーにパーリンカというお酒がります。ハンガリーではソウルドリンクともいえるお酒で、夕食で訪問するとまず、食事の前にすすめられます。現在では個人のパーリンカ製造は禁止されていますが、以前は家庭でも作られていました。来客があったりすると自慢の自家製パーリンカをふるまったりしたものです。自家製のものになれば70%以上、あったりしますが、ストレートをショットで一気に飲み干します。来客も同じように一気に飲み干さなければなりません。のどが焼けるような強さですが、飲み干すこちらの様子を見て、家の主人が満足げにしていたのを覚えています。

ハンガリーへ行って、出されたパーリンカを断るな!という“ハンガリーでしてはいけないことの5つ”(4つ目に出てきます)という外国人ジョークもあります。興味のある方はこちらをご覧になってください。

パーリンカはブランデーなどと同じく果物原料の蒸留酒です。人気なのはプラム、リンゴ、洋梨、チェリー、アプリコットです。あちこちのお土産屋さんで売っていますが、いろんなフルーツ原料のものがセットになっているのがあります。色々、試したい方はセット品をお勧めします。それぞれの香りと味わいが楽しめるのでオススメです。

残念ながら日本国内でパーリンカを通常購入することはできません。パーリンカにはメチルアルコールが含まれています。メチルアルコールは果実からアルコールを生成する過程で自然に発生するのですが、多量に摂取すると人体に害がある為、日本では0.1%以内でなければ輸入許可が出ません。EUでは1%以内でその許可の数値に10倍の差があります。果実による個体差がありますがパーリンカのほとんどが0.1%以上はあり、ほとんどのパーリンカは日本に販売目的で輸入できないというわけです。

ハンガリーのソウルドリンクといいましたが、日本のお酒離れ同様、ハンガリーでもパーリンカ離れも起きているようです。2019年のパーリンカ生産量は約850万リットルで2018年の生産量より100万リットル原産しています。とは言っても20歳から84歳までのハンガリー男女の人口770万人で割ると一人当たり年間1.1リットル。対して日本の同人口9830万人で清酒、合成清酒で割ると0.22リットルで統計的にはパーリンカは日本酒の約5倍飲まれていることになります。因みに日本酒15%前後、パーリンカ40%前後なのでアルコール度数を考慮するとその差はさらに開きます。どうでもいいデータかもしれませんが、ハンガリーで少なくなったとはいえ、まだよく飲まれているということです。

ハンガリー人のパーリンカ愛は強く、パーリンカという曲がいくつも作られています。そのうちの一曲、Magna Cum Laudeの Pálinka Dalをご紹介します。

最後に一つ、付け加えさせていただきます。日本でもよく言われることですが、強いお酒を飲むことで体の中の菌を殺し、病気が治ると信じている人がいます。ハンガリーでも、パーリンカは万能の薬のように言われています。特にこのところの新型コロナウイルスの流行でパーリンカでウイルスを消せるのではないかと巷でまことしやかにささやかれています。しかし、ウイルスを殺すのに70%のアルコール度数が必要です。血液の中を70%以上のアルコールが流れることはあり得ないわけで、仮に40%アルコール度数のパーリンカであれば5%は口な中で吸収され、20%は胃の中で吸収され、それを超えるアルコールは全て肝臓で処理されます。なので強いお酒でも口内の除菌には効果はありますが体内のウイルスを殺すことはできません。強いお酒の飲みすぎは免疫力の低下につながったり、胃の粘膜を傷つけ重い病気の原因になったりすることはあっても、強いお酒の影響で体内からウイルスが消えたりはしないので過度なアルコールの摂取は控えてください。

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